セカンド・コミットメント

国際離婚調停中に出会ってしまった彼との恋。

彼の周りの人たち

私が日本からやってきて10年ほど、この町で住んでいた地域はどちらかというと教育志向のそこそこ収入のある家族が住む住宅地ばかりでした。モラハラ夫は社会的には成功していていい仕事について、年齢の割には稼いでいました。子供のためにも、と評判のいい学区に住んでいました。

 

彼も子供が小さかった時にはそういう地域に住んでいたらしいけど、現在は自分の好きな土地、ものすごく地域の歴史の濃い場所に住んでいます。すぐ近くには一番治安の悪い通り。でも、そここそが我が町で一番エネルギーにあふれた面白い土地なんです。

 

彼と知り合ってから、そのあたりを二人でよく歩きます。治安が悪いといっても小さな田舎町。昼間はのどかなもので、10年住んでいたのに全く知らなかった土地の話を彼から聞きながら、二人で散歩するのはとても暖かい。二人お気に入りのレストランもあって、朝ならコーヒー、週末ならブランチ、そして夜はワインを飲んだり食事をしたり。彼はもともとお得意様で、そこに私が加わって、レストランの店員さんも私たち二人によくしてくれる。

 

子供が父親と過ごしていた先週末。彼の友人と一緒にお気に入りレストランで夕食。楽しいひと時を過ごした後、友人は帰宅。彼と二人でそのまま歩いて家までの帰り道にある飲み屋に寄ったら、そこには彼の地元の知り合いが。みんなから「とーさん」って呼ばれてる人で、私の父と同じ年齢(笑)

 

とーさん、彼、そして私の3人で、最初の飲み屋を後にしてもう一件別の飲み屋さんに。そこは本当に地元の人たちから愛されていて、スポーツ中継なんかでみんなが盛り上がるような村の酒場。

 

ほぼ出来上がってる私たちに、酒場のママも地元言葉丸出しでちゃきちゃきお酒を出してくれる。とーさんも彼も交互にジュークボックスにコインを入れて、その場のみんなを巻き込んで音楽を聴きながら話しながら飲む。ローカル訛りの現地語はなかなかハードルが高い。しかも実は怖い場所だと思ってて今まで行ったことのなかった地元中の地元。でも彼が隣でフォローしてくれるおかげで私も楽しく会話に混ざれる。これはホントに目からうろこというか、私の知らなかった世界の扉がばーんっと開いた感じ。あんな地元訛りの人が近づいてきたら今までは自分の先入観からまず逃げていた。私みたいなアジア人は、差別的な言葉をかけられるに違いないって決めつけて。

 

地元人の彼と一緒にいたから、というのも多分大きいけど、私は間違ってた。みんなみんな言葉は荒いけど、皆さんなりに「日本人」の私を迎え入れてくれて、色々質問してくれて、わざわざ向こうのテーブルから握手しに来てくれたり。サヨナラ、アリガトって知ってる限りの日本語で挨拶してみてくれたり、暖かかった。そのうち日付が変わる前、酒場の閉店時間になったから、帰る前に私はお手洗いに行った。

 

帰り道。彼が教えてくれた。私がお手洗いにいる間、隣に座ってビールを飲んでいた地元サッカーチームの帽子にマフラーにシャツ、と地元愛ばりばりの中年男性。彼に近づくなりおもむろにこんなことを言ったそう。

 

「これは変に取らないでほしいんだけど。」

 

この一言、彼はそのあとに何が来るかとちょっと身構えたそうだ。

 

「どうやったら日本人女性と知り合えるの?!」

 

(笑)

 

いろんな取り方はできるかもしれないけど、私は嬉しかった。ホントに日本人でもいいんだなぁ。いろいろな部分であまりにこの地域のローカルな人たちとはかけ離れている私は、一生異端で生きていくのかなと勝手に覚悟してた10年間。そういうものでもないんだなー。って驚いたし、嬉しかった。

 

もちろんこれは彼の人格によるところが大きい。彼が地元で皆から信頼されて愛されているからこそ、その隣にやってきた私もすっと受け入れてもらえたんだと思う。人生の妙、縁と運に感謝する毎日です。

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